朝までぐっすり眠れる体に!睡眠の質を変える毎日の習慣
現代では、多くの人が何らかの睡眠トラブルを抱えています。
あなたにも、こんなお悩みはありませんか?
・布団に入ってもなかなか眠れない
・疲れているのに寝つけないことがある
・夜中に何度も目が覚める
・もっと寝たいのに早く目が覚めてしまう
・朝起きても疲れが取れていない
こうした悩みは決して珍しいことではありません。
しかし、良質な睡眠は心と体の健康を支える土台です。
睡眠不足が続くと、次のような悪影響が出てきます。
・免疫力の低下
・集中力・判断力の低下
・ストレスや気分の落ち込み
・高血圧や糖尿病など生活習慣病のリスク増加
一方で、しっかり眠れると日中のパフォーマンスが上がり、気持ちも前向きになります。心身ともに健やかな毎日を送るために、睡眠は欠かせない要素なのです。
睡眠のメカニズムとは?わかりやすく解説します

そもそも、睡眠はどのような体の仕組みで起きているのでしょうか?
そのメカニズムを知ることが、睡眠の悩みを解決するヒントになるかもしれません。
ここでは、睡眠の基本的な仕組みについてわかりやすく解説していきます。
睡眠をコントロールする2つのリズム
人間の睡眠は「体内時計」によって調整されています。中でも大きな役割を果たすのが、「睡眠恒常性」と「サーカディアンリズム」という2つの仕組みです。 さらに、「セロトニン」や「メラトニン」といったホルモン、そして「体温」も深く関係しています。
睡眠恒常性とは?
これは、日々の睡眠時間を一定に保とうとする働きです。 たとえば、睡眠不足の翌日に長く眠くなるのは、この仕組みの働きによるものです。 また、疲れていなくても、決まった時間になると眠くなるのも同じ仕組みです。
サーカディアンリズムとは?
24時間の体内時計のことを指します。 このリズムによって、体温やホルモンの分泌、代謝、眠気のタイミングが調整されています。 サーカディアンリズムが整っていると、毎朝自然に目覚め、夜になると眠くなるようになります。
特に重要なのが、「セロトニン」と「メラトニン」というホルモンです。 日が暮れて暗くなるとメラトニンの分泌が増え、眠気を促してくれます。
セロトニンとメラトニンの働き

朝に活動的になるのも、夜に眠くなるのも、体内リズムとホルモンの働きによるものです。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分の安定ややる気に関係しています。 ストレスへの抵抗力を高める効果もあります。
メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれ、目覚めてから14〜16時間後に、セロトニンを材料にして分泌されます。 メラトニンがしっかり分泌されると、自然な眠気が生まれ、スムーズに眠りにつくことができます。
つまり、良い睡眠のためには、日中にセロトニンをしっかり作っておくことがとても大切なのです。
「寝つきが悪い」「熟睡できない」といった悩みは、セロトニン不足が原因かもしれません。
セロトニンを増やす生活習慣
セロトニンをしっかり分泌させるには、特に朝の過ごし方が大切です。以下のような習慣を取り入れてみましょう。
・朝に日光を浴びる(10〜15分程度)
太陽の光を浴びることでセロトニンの分泌が促されます。
・リズム運動をする
ウォーキングなど一定のリズムで動く運動が効果的です(15〜30分程度)。
・朝食にたんぱく質をしっかりとる
セロトニンの材料になる「トリプトファン」を含む食品がおすすめです。
例:味噌、納豆、豆腐などの大豆製品、米などの穀物、卵、バナナ、ピーナッツ、ゴマなど。
・よく噛んで食べる
咀嚼することでセロトニンの分泌が高まります。
これらの習慣を続けることで、体内リズムが整い、自然な眠気と心地よい睡眠につながります。
体温と睡眠の深い関係
睡眠と体温も密接に関係しています。
人間の体温には「深部体温(脳や内臓)」と「皮膚体温(体の表面)」の2種類があります。
深部体温は日中高く、夜に下がります。
皮膚体温は日中低く、夜に高くなります。
眠くなると手足が温かくなるのは、深部体温が手足から放熱されているためです。 深部体温が下がると、脳が休息モードに入り、眠りにつきやすくなります。
この深部体温と皮膚体温の差が小さくなるほど、眠気が強くなります。 また、メラトニンにも深部体温を下げる働きがあると言われています。
入浴のすすめ
体温調節に効果的なのが「入浴」です。 ぬるめのお湯(38〜40℃)にゆっくり浸かることで、血行がよくなり、深部体温を下げやすくなります。
規則的な活動で体内リズムを整えることが重要
良い睡眠には、体内リズムを整えることが大切です。 セロトニンやメラトニンなどのホルモンの働き、体温の変化も重要なポイントです。
朝の活動でセロトニンを増やし、夜は体温調整を意識することで、自然に眠れる体を作っていきましょう。 規則正しい生活が、質の高い睡眠への第一歩になります。
睡眠トラブルの主な原因は自律神経の乱れ

夜になると自然に眠くなるのは、私たちの体に備わっている仕組みのおかげです。 ところが、つい夜更かしをしてしまったり、勉強や仕事で徹夜に近い生活をしたりすると、本来の「睡眠のリズム」が乱れてしまいます。
睡眠を支えているのは、「睡眠恒常性」や「サーカディアンリズム」といった体内のリズムです。 また、セロトニン不足や入浴をせずにシャワーだけで済ませる生活も、睡眠の質を下げる原因になります。
これらのリズムやホルモン分泌をコントロールしているのが「自律神経」です。つまり、自律神経がうまく働いていないと、睡眠の問題が起きやすくなるのです。
自律神経の乱れと睡眠の関係
不規則な生活は、自律神経のバランスを崩し、睡眠に悪影響を与えます。特に大切なのが「毎日同じ時間に起きる・寝る」というリズムを保つことです。
たとえば、疲れているからといって早く寝たり、休日に長く寝すぎたりするのは逆効果。 むしろ、平日と同じ時間に起きて寝るほうが、睡眠の質は保たれます。
休日に「たっぷり寝たい」と感じるのは、日頃の睡眠が足りていない証拠です。 まずは平日の睡眠時間をしっかり確保することが、健康への第一歩となります。
睡眠は「量」よりも「リズム」が大事。起きる・寝る時間を一定に保つことが、深い眠りへの近道です。
その他の睡眠の妨げとなる要因

自律神経の乱れ以外にも、さまざまな要因が重なることで睡眠トラブルは悪化します。以下の4つの視点から原因を整理してみましょう。
・身体的な要因
・環境的な要因
・心理的な要因
・生活習慣の影響
身体的な要因
・ホルモンバランスの乱れ
メラトニンやセロトニンなどの睡眠に関与するホルモンの分泌異常の他にも、特に更年期の女性はエストロゲンやプロゲステロンの変動により、睡眠の質が低下することがあります。
・病気や慢性的な痛み
アレルギー、喘息などの慢性的な疾患は、夜間の不快感や呼吸困難をもたらし、睡眠を妨げます。また、関節炎や線維筋痛症などの痛みを伴う病気も同様です。
・睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が止まるこの症状は、質の低い睡眠と日中の眠気を引き起こします。肥満や喫煙がリスク要因です。
・加齢による影響
加齢により睡眠の質や量に変化が生じるのは自然な現象です。サーカディアンリズムの調整がうまく機能しなくなったり、メラトニン分泌の減少が起こるからです。しかし、健康的な生活習慣や適切な対策を講じることで睡眠の質を改善することは可能です。年齢のせいだからと諦める必要はありません。
環境的な要因
・脳への刺激
寝る直前のスマホ、勉強、仕事などは脳を興奮させ、眠気を妨げます。
・光の影響
ブルーライトや街灯の明かりがメラトニンの分泌を妨げ、眠気を妨げます。街灯や電子機器の光が寝室に入り込むと、睡眠のリズムが乱れる原因になります
・室温と湿度
寝室の温度が高すぎたり低すぎたりすると眠りにくくなります。一般的に、18〜22度の室温が理想的とされています。
・騒音
外部からの騒音や室内の家電製品の音は、入眠を妨げたり、眠りを浅くしたりします。耳栓などの利用で対策が可能です。
心理的な要因
・ストレス
仕事や人間関係の悩みは、脳を興奮状態にし、リラックスを妨げます。 人間はストレスを感じると「戦うか逃げるか」の選択に迫られます。社会活動では基本的には「戦う」を選択せざる負えない場面がいくつもあります。その戦うという時に自律神経の交感神経が興奮します。交感神経は興奮させる働きがあるため、その時間が長くなればなるほど睡眠に影響が起こりやすくなります。このような状況が慢性的になればなるほど睡眠はうまくいかなくなっていきます。
・不安やうつ状態
将来への不安や自己否定感は、ネガティブな思考を増幅させ、寝つきを悪くします。深刻な場合は専門家への相談が必要です。
・考えごとが多い
寝る前に翌日の予定や過去の出来事を考えすぎると、脳が休まらず、眠りに入りづらくなります。
生活習慣の影響
・カフェインの摂りすぎ
カフェインは覚醒作用があり、午後以降の摂取は寝つきを悪くする可能性があります。
・アルコールの摂取
アルコールは一時的に眠気を誘発しますが、睡眠の質を低下させ、夜間に目が覚めやすくなります。アルコールやカフェインの過剰摂取には注意が必要です。
・運動不足
日中に体を動かさないと、自律神経が整いにくく、寝つきが悪くなることがあります。セロトニンの分泌も弱まります。適度な運動は深い睡眠を促進します。
・暴飲暴食
消化にはエネルギーをかなり使います。消化に悪い、和食以外のもの、野菜を食べない、など。高血糖、高脂質を食べ過ぎても、消化にエネルギーを取られ睡眠の質を低下させます。
睡眠を促すには?眠れないときの対処法と習慣づくり

「なかなか寝つけない」「ベッドに入ってから眠るまで時間がかかる」——そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか? ここでは、今すぐ実践できる入眠サポート方法から、継続的に取り組むことで睡眠の質を根本から改善する習慣まで、わかりやすくご紹介します。
今すぐ実践できる入眠サポート法
深呼吸・4-7-8呼吸法
呼吸は心身をリラックスさせる簡単な方法です。特に「4-7-8呼吸法」は神経を落ち着かせる効果があります。 やり方は、
(1)鼻から4秒かけて息を吸う
(2)7秒間息を止める
(3)口から8秒かけてゆっくり吐く
このサイクルを数回繰り返すことで、副交感神経が優位になり、リラックス状態に導かれます。
全身の力を抜く
睡眠テクニックの1つに全身の力を意識的な抜いていく方法があります。 まず顎の力を抜いたら、首→肩→背中→腰→下半身という流れで、順番に意識して力を抜いていきましょう。そうすることで全身が脱力状態になりやすく、興奮状態の体をリラックスさせることができ、入眠に入りやすくしてくれます。
難しい本を読む
1日使ってきた脳は、情報で疲労しています。内容が入りづらいような難しい本を読むことで、自然な眠気を促します。
アロマの香りを活用する
香りの情報は自律神経に送られます。植物由来のアロマの香りは副交感神経が優位になる作用がありリラックスして眠りやすくなります。
継続的な改善につながる習慣

睡眠リズムを一定に保つ
毎日同じ時間に起きて寝ることで、体内時計が整います。平日も休日もできるだけ時間をずらさないことがポイントです。その習慣が睡眠恒常性を作り、自然と眠気が訪れやすくなり、朝の目覚めもスッキリします。
就寝の60~90分前に入浴する
お風呂に入ると深部体温が一時的に上がります。そこから体温が下がるタイミング(60〜90分後)で眠気が訪れやすくなります。そのため理想を言えば就寝60〜90分前に入浴を済ますとスムーズな入眠につながります。
日中に軽い運動をする
1日15〜30分程度のウォーキングやストレッチなどの運動は、セロトニンを分泌し、メラトニン生成につながります。 夜遅くの運動は逆に眠れなくなるので、朝~夕方に行うのがベストです。
朝の光を浴びる
朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。体内時計がリセットされます。太陽光を浴びるとセロトニンの分泌が活発となり夜のスムーズな入眠につながります。理想は1日10〜15分程の日光浴です。
ルーティンを作る&就寝前のリラックス時間を作る
夕食後は良質な睡眠にむかうための活動をする。部屋を暗くするなど、脳に刺激があるようなことはしない。 眠りにつくまでの決まり事があるとより入眠しやすくなります。脳を興奮させないよう、時間、服装、光、温度、音などルーティン化することで、余計なことを考えないようにすることも効果的です。 リラックスするために、温かいお風呂に入る、読書をする、ストレッチをするなどもおすすめです。
寝室の環境を整える
快適な寝室環境を作るため寝室は「寝るためだけの空間」にするのが理想です。 寝室の明るさ、音、温度、湿度が快適であることが重要です。
デジタルデトックス
スマホやパソコンの画面から発せられるブルーライトは、眠気を妨げます。寝る1時間前にはデバイスの使用を控えるようにしましょう。
良質な睡眠をサポートする食事
「トリプトファン」を含む食品を意識して摂りましょう。トリプトファンはセロトニンやメラトニンの生成を助けるアミノ酸です。代表的な食べ物は、味噌、醤油、納豆や豆腐などの大豆製品。米などの穀類。その他には、ゴマ、ピーナッツ、卵、バナナにも多く含まれています。
整体や鍼灸の施術を受ける
自律神経のバランスを整えるには、整体や鍼灸などの施術も効果的です。骨格や筋肉の歪みの調整や身体の緊張をほぐし経絡(ツボ) 刺激を通じて副交感神経を優位にすることで、リラックス効果を高め、睡眠に入りやすい状態を作ります。血流が良くなる事で身体全体の巡りも良くなり、深い睡眠を妨げる体内のストレス反応を抑えることができます。さらにはツボ刺激によって脳内のセロトニンやメラトニンなど、睡眠に関連するホルモンの分泌が促進されることがわかっています。
それでも眠れないときは…
どうしても眠れない夜もあります。 「眠らなきゃ」と意識しすぎると、かえって緊張してしまい、ますます眠りが遠のいてしまいます。 そんな時は無理に眠ろうとせず、寝場所を変えたり、白湯を飲んでみたり、本を読んでみたりと、気を見らわしたりすると意外と自然と眠りについていることもあります。一番の対処法は無理に眠ろうとしないことかもしれません。
睡眠の質を上げるには?小さな習慣から始めましょう
睡眠の質を改善するためには、一度に完璧を目指すのではなく、小さな習慣を少しずつ取り入れることが重要です。今日できることから始めて、無理なく続けることで、徐々に効果を実感できるようになります。たとえば、毎晩同じ時間に寝る、就寝前のルーティンを一つ加えるなど、シンプルな変化からスタートしましょう。
焦らず、一歩ずつが大切です
睡眠の改善はすぐに結果が出るものではなく、少しずつ体に定着していくプロセスです。 たとえ変化がゆっくりでも、自分のペースで続けていけば、やがて「よく眠れた」と感じる日が増えていきます。 小さな成功を積み重ねることで、モチベーションも保ちやすくなります。
質の良い睡眠が、心と体を整える
睡眠は、心身の健康を支える柱です。 よく眠れるようになると、朝の目覚めがスッキリし、日中の集中力が高まり、気分も安定してきます。 結果として、生活全体の質がぐっと向上します。今回ご紹介した方法を取り入れることで、睡眠にまつわる悩みが軽減され、より健やかな毎日を手に入れられるはずです。
「眠れない夜」は決して珍しいものではありませんが、適切なアプローチを取ることで改善できます。睡眠は本来人間の活動によって促される自然な行動です。睡眠薬に頼る事も大事ですが、薬はあくまでも対症療法です。根本的に解決しているわけではありません。服用し続けることで副作用も考えられます。睡眠が促される習慣を継続していき根本から睡眠問題を改善していきましょう。
ぜひこの記事を参考に、快適な睡眠習慣を築いていってください。
執筆・監修
開原匡彦(かいはらまさひこ)

「根本から健康を支える治療家」
柔道整復師(国家資格)・ダイエットインストラクター(日本ダイエット健康協会)・KOBA式体幹バランストレーニングトレーナー・健康管理能力検定(文部科学省後援)2007年にえびす整骨院を開業し、18年間で延べ3,550人、施術回数84,000回の実績を誇る。
運動・栄養・生活習慣指導の資格を取得し、その場しのぎの施術ではなく、根本から健康を支える施術を実践。患者様一人ひとりの不調の原因を見極め、最適な施術計画を提供することを信条とし、患者様と相互理解を深め、総合的なアプローチで患者様をサポート。健康第一のライフスタイルを貫き、趣味はストレッチ・食養・温泉巡りで、日々自身の健康管理にも努めている。