その肩こり・腰痛、原因は“筋肉の質”かも?整骨院が教える根本改善法

2025年08月07日(木)

たった3ヶ月で“体質”が変わる?筋肉が生まれ変わるしくみとは



人間の細胞は、新陳代謝によって毎日少しずつ入れ替わっています。筋肉や骨、血液、内臓など、すべての細胞が日々生まれ変わっているのです。見方を変えれば、数年ごとに“新しい自分”に生まれ変わっているともいえます。

こうして生まれ変わる細胞は、私たちが食べた栄養から作られ、運動によって強くなります。つまり、細胞の質は日々の生活習慣と深く結びついているのです。

なかでも筋肉は、特に早く生まれ変わる細胞のひとつです。筋肉の細胞が入れ替わるサイクルは年齢や生活習慣によって異なりますが、研究ではおおよそ3〜6か月で一巡するといわれています。この生まれ変わる期間に筋トレや食事改善など、筋肉の質を高める習慣を継続すれば、比較的早く筋肉の質を変えることが可能になります。

もちろん、その3〜6か月間に悪い生活習慣が続けば筋肉の質は低下しますし、良い習慣を続ければ質は向上します。

肩こりや腰痛で整骨院やマッサージに長く通っているけれど、その場しのぎでまた症状が戻ってしまう…そんな経験はありませんか? それは、筋肉の質そのものが改善されていないことが原因かもしれません。

姿勢の改善と合わせて、筋肉の質を変えていく習慣を取り入れることで、慢性的な「凝り」に悩まされにくい体になります。筋肉の質を変える習慣こそが、根本的に体を整える第一歩なのです。

今回のブログでは、筋肉の質を高め、痛みにくい体をつくるために必要な習慣をご紹介します。

体重の半分は筋肉!質が悪化すると起こる3つの変化



筋肉の質が低下すると、体にはさまざまな不調があらわれます。筋肉は体を支え、関節を動かすだけでなく、血管や胃腸などの内臓の働きにも関わっています。

筋肉量は体型によって異なりますが、男性で体重の40〜50%、女性で30〜40%を占めます。体重の半分近くを占める筋肉は、人が健康に生きていくうえでとても重要な役割を担っています。そんな大切な筋肉の質が低下すると、次のような症状が起こりやすくなります。

●筋肉の凝り
血流が悪くなり、筋肉に酸素や栄養が十分届かなくなることで凝りが発生します。その結果、肩や腰、首などの部位に慢性的な痛みが出やすくなります。筋肉は硬く、伸びにくくなり、ケガもしやすくなります。

●姿勢の歪み
筋肉が体を支えきれなくなると、姿勢が崩れやすくなります。背骨や関節を支える力が弱まり、猫背、反り腰、骨盤のゆがみなどの原因となります。

●内臓機能の低下
筋肉の質が落ちると、呼吸や消化、血流にも影響が出ます。結果として、頭痛、便秘、冷えなど、体全体の健康に悪影響を及ぼすことがあります。

このように、筋肉の質の低下は見た目の問題だけでなく、体の機能全体や生活の質にも影響します。筋肉の質を良い状態に保つことは、健康的な生活を送るために欠かせないポイントです。

放っておくと危険!筋肉の質が下がる3つの原因



筋肉の質が、ある日突然悪くなることはありません。日々の習慣が少しずつ影響し、時間をかけて変化していきます。筋肉の質を悪くする原因は、大きく3つに分けられます。

① 運動不足、または運動のやりすぎ

運動不足になると、筋肉への血流が慢性的に悪くなります。血液は筋肉に酸素や栄養を運ぶ役割があるため、運動不足が続くと筋肉は酸欠状態になり、硬く痛めやすい状態に変わってしまいます。

一方で、運動のやりすぎにも注意が必要です。毎日休みなく過度な運動を続けると、筋肉の疲労が回復しきれず、筋肉が作られるよりも分解されるほうが多くなる「カタボリック」という状態に陥ります。筋肉は修復と成長を繰り返しますが、休息が足りないと回復が間に合わず、筋力の向上どころか低下することがあります。無理をせず、定期的に休息を取り入れることが大切です。

② 食事

筋肉は、日々食べているものから作られます。甘いお菓子ばかり食べたり、栄養が偏った食生活では、筋肉の質も悪くなります。見た目は同じ筋肉でも、魚や肉などの自然なタンパク質やバランスの取れた栄養から作られた筋肉とは、中身が大きく異なります。

甘いものは適度であればエネルギー補給や回復に役立ちますが、摂りすぎると「糖化」という現象を引き起こし、筋肉や関節を硬く脆くして炎症を起こしやすくなります。糖化は、体が焦げつくような現象です。

③ 加齢

年齢を重ねることは避けられませんが、筋肉の質の変化は日々の習慣によって大きく変わります。実際、同じ年齢でも若々しい人とそうでない人がいるのは、習慣の違いが大きく影響しています。

筋肉や体の状態に影響を与える要因は、遺伝が約2割、生活環境や習慣が約8割といわれています。つまり、日々の生活環境や習慣を整えることで、年齢に負けない筋肉の質を保つことが可能です。

筋トレだけじゃ不十分!しなやかな筋肉を育てる秘訣



質の良い筋肉とは、姿勢をしっかり保ち、柔らかさと弾力を兼ね備えたしなやかな筋肉のことです。筋肉を鍛えると聞くと、まず筋トレを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、筋トレで筋肉量を増やすだけでは弾力は得られても、しなやかさまでは十分に育ちません。

筋肉の質を高めるためには、筋トレに加えて、柔軟性を高めるストレッチや持久力を養う有酸素運動を組み合わせることが大切です。

● 筋力トレーニング
器具を使わず自宅でできる自重トレーニングがおすすめです。代表的なものはスクワットや体幹トレーニングです。週2〜3回を目安に継続すれば、2〜3か月ほどで筋肉の質に変化を感じられるでしょう。

● ストレッチ
ストレッチは筋肉の柔軟性を高め、血流を改善します。血流が良くなると筋肉に酸素や栄養が届きやすくなり、疲労物質も溜まりにくくなります。その結果、筋肉の質を保ちやすくなります。 肩・肩甲骨まわり、腰、太ももなど大きな筋肉を中心に、毎日ストレッチを行うことで、しなやかさと質の向上が期待できます。

● 有酸素運動
ウォーキングは、体への負担が少なく全身をバランスよく刺激できる有酸素運動です。ランニングも効果的ですが、負荷が大きいため、まずはウォーキングから始めるのがおすすめです。体に負荷なく効率良く全身に刺激を与えることができ、持久力の向上が期待できます。日常生活の中でも、階段を使う、歩く距離を少し増やすなど、意識的に体を動かす工夫が効果的です。

これら3つの運動をバランスよく続けることで、筋肉の質は徐々に向上し、根本から凝りや姿勢の改善につながります。

食べて育てる!筋肉の質を変える“まごわやさしいこ”



食生活の改善は、筋肉の質に大きな影響を与えます。一時的ではなく、継続的に取り組むことで、筋肉の健康や機能を向上させることができます。筋肉の質を高めるためには、何より栄養バランスが大切です。

筋肉に欠かせない代表的な栄養素はタンパク質です。タンパク質は筋肉の成長と修復を支える重要な成分ですが、タンパク質だけに偏った食事では、質の高い筋肉はつくられません。ビタミンやミネラル、エネルギー源となる糖質などもバランスよく摂ることで、筋肉の働きを助け、疲労や劣化を防ぐことができます。

では、具体的にどんな食品を意識すれば良いのでしょうか。参考になるのが、栄養バランスの整った食事を簡単に思い出せる合言葉「まごわやさしいこ」です。これは、栄養バランスを整えるために食事に取り入れたい、8つの食材の頭文字から成る言葉です。

・「ま」 まめ類 (特に良質なタンパク質が豊富、ビタミン、ミネラル、食物繊維)
・「ご」 ごまなどの種実類(特に良質なタンパク質が豊富、脂質、ミネラル、食物繊維)
・「わ」 わかめなどの海藻類(特にビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富)
・「や」 野菜全般(特にビタミン、ミネラルが豊富)
・「さ」 魚・海老などの魚介類(特にミネラルが豊富、ビタミン、タンパク質)
・「し」 しいたけなどのきのこ類(特にビタミン、食物繊維が豊富)
・「い」 いも類を指しています(特にビタミン、食物繊維が豊富
・「こ」 発酵食品(味噌、漬物、納豆、醤油、お酢、味醂、料理酒)



これらをまんべんなく取り入れるには、和食が特におすすめです。和食は栄養バランスが整っており、体にも心にも優しい食事です。1日の食事でこれら8項目の食材をどれくらい摂れたか意識するだけでも、栄養の偏りは防げます。もしその日に不足した食材があっても、翌日に補えば大丈夫です。

「栄養バランスを取るなら、サプリメントやプロテインでもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、基本は食材から栄養を摂ることが大切です。サプリやプロテインは便利ですが、特定の栄養素を濃縮したもので、食材のように多様な栄養素をバランスよく含んではいません。サプリメントはあくまで食事で足りない栄養素を補うためのものです。まずは食事からしっかりと栄養を摂ることを心がけましょう。

このように、日々の食生活で栄養バランスを意識することで、筋肉の質は向上し、健康な状態を保ちやすくなります。結果として、凝りや姿勢の悪化の予防にもつながるでしょう。

始めるのに遅すぎることはない。筋肉は応えてくれる。

ここまで、筋肉の質が悪くなると起こる体の問題、その原因、そして質を高める方法についてお伝えしてきました。 筋肉の質を良くするのも悪くするのも、すべて日々の習慣の積み重ねによる結果です。

筋肉の細胞はおよそ3〜6か月で入れ替わります。このサイクルを理解すれば、短期間で結果を求めるのではなく、長期的な視点で筋肉の質を高めるアプローチができるようになります。運動不足で偏った食事から作られた筋肉と、運動習慣とバランスの取れた食事で作られた筋肉では、見た目は同じでも中身はまったく異なります。

例えば、6か月を1つのサイクルと考え、その間に運動や食生活の見直し、整骨院での施術などを組み合わせて取り組めば、根本から筋肉の質の変化を実感できるでしょう。姿勢の改善や凝りの軽減、症状の再発予防など、日常生活の快適さにも大きな違いが出ます。

「もう歳だから」と諦める必要はありません。筋肉の質を高めることで得られるメリットは、実践した人にしかわかりません。加齢による変化は、日々の良い習慣で十分補うことができます。実際、筋肉の質に影響を与える要因の約8割は生活環境といわれています。良い習慣を続ければ、誰でも筋肉の質を改善できます。

筋肉の質を高めることは、姿勢や健康の改善だけでなく、生活全体の質を向上させます。筋肉の質を意識して改善することは、日々の生活の質を向上させ、長期的な健康に貢献する重要なステップです。今からでもできることを少しずつ取り入れ、筋肉の質を高めていきましょう。